子どもの目やに・充血…流行性角結膜炎かも!具体的なケアや予防法6選
朝起きたら、子どもの目に「目やに」がびっしり!目も赤い!…それは、もしかしたら「流行性角結膜炎(ウイルス性結膜炎)」かもしれません。
流行性角結膜炎は「はやり目」とも呼ばれ、とても感染力が強い病気です。主な感染経路は接触感染と飛沫感染で、きょうだい間や保育園・幼稚園での集団感染も多くみられます。
この記事でわかること
- 子どもの目やに・充血の症状から考えられる結膜炎の種類と特徴
- 目やには洗ってもいい?すぐにできる具体的なケア方法と予防法6選
- 保育園・幼稚園への登園判断や、きょうだいの対応方法
- 流行性角結膜炎で受診する際の診療科
この記事では、流行性角結膜炎について保健師監修のもと、分かりやすく解説します。
いざという時に落ち着いて対応できるよう、ぜひ最後まで読んで流行性角結膜炎の基礎知識を身につけておきましょう。
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この記事を監修いただいた専門家
保健師 シホ
10年以上にわたり自治体保健師として感染症や母子保健などの業務に従事し、多くの住民に寄り添い支援を行う。他にも、病院看護師としての臨床経験や学校保健師としての業務経験など、幅広く公衆衛生に従事する経験を持つ。現在、一人娘を育てながら、ICTを使ってより多くの人々の健康支援に寄与できるよう、育児コラムの編集・監修などにも活動を広げている。趣味は映画鑑賞。
子どもの目やに・目の充血…「流行性角結膜炎」かも
子どもの目が開けにくいほどの目やにが出ていたり、急に目が真っ赤に充血したりしたら、もしかすると「流行性角結膜炎」かもしれません。
流行性角結膜炎は感染力がとても強く、「はやり目」とも呼ばれるウイルス性の結膜炎です。結膜炎の種類と症状
結膜炎は、結膜(白目の表面とまぶたの裏を覆っている半透明の膜)が赤く充血して炎症を起こす病気です。結膜炎は、原因によっていくつかの種類に分けられます。
結膜炎の種類 感染力 ウイルス性
結膜炎①流行性角結膜炎 とても強い ②咽頭結膜炎 ③急性出血性結膜炎 細菌性結膜炎 弱い アレルギー性結膜炎 なし 感染力が強い「ウィルス性結膜炎」の中でも、特に人にうつりやすい①〜③について、主な症状をチェックしましょう。
①流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)
- 目の充血
- 大量の目やに
- (幼児の場合)目に膜が張ることもある
- 片方の目で発症した後、もう片方の目に感染することがある
- 感染力が強いことから、通称「はやり目」と呼ばれることがある
- ※主な病原体:アデノウイルス
②咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)
- 発熱(38度〜39度)
- のどの痛みや腫れ
- 目の充血、目やに
- 頭痛、食欲不振、全身のだるさ
- プールを介してうつることが多いため、通称「プール熱」と呼ばれることがある
- ※主な病原体:アデノウイルス
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③急性出血性結膜炎(きゅうせいしゅっけつせいけつまくえん)
- 目の充血、目やに
- 初期に目がゴロゴロするなどの違和感がある
- ※主な病原体:エンテロウイルス
このほかにも、結膜炎と症状が似ていて、見分けがつきにくい病気もあります。目に違和感があるときは、自己判断せず早めに受診しましょう。
流行性角結膜炎は人にうつる
流行性角結膜炎は「はやり目」と呼ばれるように、とても感染力が強いウイルス性の結膜炎です。主な感染経路は「接触感染」。子どもの目やにや涙のウイルスがドアノブや手すりなどに付着し、そこに触れた人が自分の目を触ったりこすったりして感染が広がります。また、くしゃみや咳で「飛沫感染」することもあります。きょうだい間や保育園・幼稚園での集団感染も多くみられるので、注意が必要です。
目やにはどう拭き取る?流行性角結膜炎のケアと予防法6選
目やには清潔なティッシュやコットンで優しく拭き取る
子どもの目が開けにくいほどの目やにが出ていたら、すぐに取り除いてあげたいもの。そんなときは、清潔なティッシュやコットンを水で湿らせ、目頭から優しく拭き取るといいでしょう。
ただし、目やにや涙を介して感染が広がります。拭き取りに使ったティッシュやコットン、ガーゼ等は、密封できる袋にすぐ捨てるようにしましょう。また、拭き取り後は手をよく洗うことも忘れずに。
※水道水で直接目を洗ったり、ゴシゴシこすったりすることは、目を傷つける可能性があるため避けましょう。
※入浴や洗顔の際は目に水が入らないようにし、目の周辺のみを優しく洗いましょう。
目をこすらない、触らない
目をこすった手から他の人に感染する可能性があります。また、強くこすると目を傷つけてしまう可能性もあるため、目や目の周りにはできるだけ触らないようにしましょう。
タオルや食器などは、家族と共有しない
タオルや洗面具など顔に触れるものや、食器などは共有せず、必ず家族と別々にしましょう。
目に触れる前後には、必ず手を洗う
アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、石けんでしっかり手を洗うことが効果的です。
お風呂はシャワー浴にし、最後に入る
入浴はシャワー浴にとどめ、一番最後に入るようにしましょう。湯舟に入る場合は、入浴後すぐ栓を抜いてお湯を抜き、浴槽に水をかけてよく洗い流します。
ドアノブやスイッチなどはこまめに消毒する
アデノウイルスは、熱に弱く、90℃で5秒の煮沸消毒で死滅します。熱消毒できないものは次亜塩素酸(家庭用塩素系漂白剤)で拭く、またはアルコールで二度拭きしましょう。
流行性角結膜炎で保育園はお休み…きょうだいは登園してもいい?
気になる登園・登校のめやすは
流行性角結膜炎は非常に感染力が強い病気です。医師において感染のおそれがないと認められるまでは保育園・幼稚園・学校はお休みしましょう。 登園のめやすは、「結膜炎の症状が消失していること」です。
無料でダウンロード- 主な感染症と登園の目安一覧表(PDF)
- 主な感染症の出席停止の有無、登園の目安、登園許可書の要不要を一覧表にしました。PDFファイルを無料ダウンロードできますので、ご家庭や保育園、幼稚園などでお使いください。
プールや水遊びは控えて
結膜炎の症状が消失していても、塩素消毒の不十分なプールや、タオルの共有などで感染が広がる場合があります。自宅などでもあってもプールや水遊びは医師の許可が出るまで控えましょう。
きょうだいは登園できるが注意が必要
きょうだいが流行性角結膜炎にかかっていても、他のきょうだいが無症状で元気な場合は登園・登校が可能です。ただし、アデノウイルスの潜伏期間は8〜14日で、感染力も強いため、いつ発症してもおかしくありません。症状が出ていなくても、マスク着用や手洗い・うがいを徹底するなどの感染対策を行って登園・登校させるようにしましょう。また、発症のおそれがある期間は家族の体調の変化により注意し、気になる症状があらわれた場合はすぐに対処するようにしましょう。
流行性角結膜炎かも?と思ったら、早めに小児科か眼科の受診を
子どもに流行性角結膜炎の症状がみられたら、なるべく早く小児科か眼科を受診するようにしましょう。何科に行けばいいか迷う場合や、目以外にも風邪症状や発熱などがみられる場合は小児科へ。眼科受診が必要かどうかを、小児科医の目で判断してもらうこともできます。
※小児科での診察内容や処方された薬がある場合は、眼科受診時に必ずそのことを伝えましょう。市販の目薬は自己判断で使用しないようにしましょう
市販の目薬(点眼薬)は、症状によって効果がさまざまですので、自己判断での使用はおすすめできません。小児科や眼科を受診して処方してもらうようにしましょう。 また、流行性角結膜炎には、有効なワクチンや治療薬はありません。症状に合わせた対症療法が中心です。多くは自然に回復しますが、症状が強い場合や長引く場合は再受診を検討しましょう。
流行性角結膜炎は夏に多く、1歳~5歳がかかりやすい
流行性角結膜炎の流行時期
流行性角結膜炎は年間を通じて発生しますが、8月を中心とした夏に多くみられます。
流行性角結膜炎の感染が多くみられる年齢
流行性角結膜炎は、主に1〜5歳の乳幼児に多くみられますが、年齢の差はあまり大きくなく、成人も感染します。保育園や幼稚園、学校等では飛沫感染、プール施設内でプール水、手指、タオルなどを介しての接触感染が多くみられます。
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目を触らない、こまめに手を洗う、タオル類を使い分ける等、日常の小さな心がけが感染予防につながります。発症した場合は登園・登校を控え、無症状のきょうだいにも注意を払いましょう。
また、目の異変に気づいたら、早めに小児科や眼科を受診し、適切な治療と対応を受けてください。特に流行しやすい夏場は、プールや水遊びの際にも十分な注意が必要です。症状は自己判断せず、早めに小児科や眼科を受診して、適切なケアを受けるようにしてくださいね。