子ども・子育て支援金はもらえるお金じゃないの?誤解されがちな制度のしくみ
「子ども・子育て支援金」という言葉を耳にして、「もらえるお金なの?それとも払うの?」と気になった方も多いのではないでしょうか。
実はこの支援金、子どもがいる・いないに関わらず、私たち国民全員が「負担するお金」。その負担によって、児童手当の拡充や出産・育休のサポートなど、子育て世帯に役立つ制度が実現します。
この記事では、家計に直結する「子ども・子育て支援金」について、ポイントをわかりやすくまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。
この記事でわかること
- 子ども・子育て支援金は「もらえる」のか「払う」のか
- 家計にどれくらい影響があるか、負担額の目安
- 制度のメリットと具体的な子育て支援策
- 制度が始まる時期
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子ども・子育て支援金は「もらえるお金」ではなく「払うお金」
まずポイントとして押さえておきたいのは、子ども・子育て支援金は私たち国民が負担するお金であるということ。
名称だけ聞くと子育て世代のパパやママに給付されるお金のイメージになりやすいですが、これは、子育て支援制度にかかるお金を社会全体で少しずつ出し合う仕組みで、税金ではなく医療保険料の一部として徴収されるものです。
国民ひとりひとりの負担によって、児童手当の拡充や出産・育休支援など、子育て家庭に役立つ制度が支えられます。
2026年度(令和8年度)からスタート
少子化が進む日本。
このままでは子育て世帯の負担が重くなり、ますます子どもを育てにくい社会になってしまいます。
そこで国は、「子育てを社会全体で支える仕組み」として、新たな支援制度の導入に踏み切りました。それが、「子ども・子育て支援金」です。
- 2026年度(令和8年度)からスタート
- 健康保険や国民健康保険などの医療保険料に上乗せして徴収される
- 平均負担額は月250円〜450円
- 全世代・全経済主体が対象
子育て中の方だけでなく、独身の方や、既に子育てを終えられた方も含めた全世代が少しずつ出し合う仕組みです。
家計にどれくらい影響する?負担額の目安
負担額のシミュレーション(月額の目安)
こども家庭庁によると、子ども・子育て支援金の負担額の目安は、次のようになっています。
個々人の具体的な拠出額については、加入する医療保険制度、所得や世帯の状況等によって異なりますが、支払いは2026年度から開始となり、2028年度まで段階的に金額が引き上げられます。年度 2026年度 2027年度 2028年度 対象者区分※ 加入者 被保険者 加入者 被保険者 加入者 被保険者 全制度平均 250円 350円 450円 被用者保険(会社員、公務員) 300円 450円 400円 600円 500円 800円 国民健康保険(自営業者) 250円 350円※ 300円 450円※ 400円 600円※ 後期高齢者医療制度(75歳以上の高齢者) 200円 250円 350円 ※それぞれ「一人あたり」
※国民健康保険は「1世帯あたり」
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度のQ&A「Q6. 子ども・子育て支援金の額はいくらになりますか?」より徴収の流れ
加入している健康保険組合や協会けんぽが、医療保険料と一緒に毎月徴収します。
子ども・子育て支援金は何に使われるの?メリットは?
子ども・子育て支援金は、子育て家庭に役立つ以下の制度の財源になります。それ以外の事業や目的で使われることはありません。
少額の負担で、子ども1人あたり数百万円規模の手当・給付が充実するイメージです。①児童手当の拡充
高校生年代まで延長、所得制限の撤廃、第3子以降の支給額増額
②妊婦のための支援給付
妊娠・出産時に10万円の給付金
③こども誰でも通園制度
保護者の就労状況に関係なく保育所などに通園できる制度
④出生後休業支援給付
夫婦ともに14日以上の育児休業を取得した場合に、育児休業給付とあわせて手取り10割相当を最大28日間支給
⑤育児時短就業給付
時短勤務中は賃金の10%が上乗せされる
⑥育児期間の国民年金保険料の免除となる
子を養育する自営業やフリーランス家庭(国民年金第1号被保険者)も、子が1歳になるまで国民年金保険料が免除
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そのほか、「子ども・子育て支援特例公債」として、支援金の拠出が満年度化する令和10年度までの間に限り、①〜⑥の費用の財源として発行される公債の償還金に充てられます。
よくある質問【Q&A】
子ども・子育て支援金の負担って強制なの?
はい。医療保険料に含まれる形で徴収されるため、加入者は原則負担します。
子どもがいない人も払うの?
はい。全世代・全経済主体が対象です。社会全体で子育てを支える仕組みです。
専業主婦(被扶養者)や子どもも支援金を払うの?
いいえ。通常は保険料を支払っている被保険者が負担するため、被扶養者(子ども・専業主婦(夫)など)が自分で支払うケースは基本的には想定されていません。詳細は加入している健康保険組合やお住まいの市区町村にお問い合わせください。
「子ども・子育て拠出金」とは違うの?
違います。子育て関連には「子ども・子育て拠出金(きょしゅつきん)」という、2015年度から始まっている制度があります。企業(事業主)が全額を負担し、保育園の整備や幼児教育・保育の無償化など、既存の子育て支援策に使われています。
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001228302.pdf(最終閲覧:2025/09/20)
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkin/faq(最終閲覧:2025/09/20)