指しゃぶりやこぶししゃぶりはなぜするの?やめさせた方がいい?
ゆびしゃぶり・こぶししゃぶり
公開日 2023.08.14
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イラスト・ずんこさん
ずんこさん
対象期間
新生児~3歳頃までの幼児(個人差あり)
費用・価格
特になし
赤ちゃんは生後2〜3か月頃から指やこぶしをしゃぶる「指しゃぶり」「こぶししゃぶり」を始めます。指しゃぶりをしている間は赤ちゃんがおとなしかったり、赤ちゃんが指や手を口にする姿を可愛らしく感じたりする一方で、ずっと指しゃぶりをすると歯並びに悪影響があるのではと心配になるママもいるかもしれません。 この記事では、赤ちゃんが指しゃぶりやこぶししゃぶりをする理由や、やめさせたほうがいいかどうか、歯やあごへの影響について分かりやすく解説します。【マンガ解説】

マンガ「指しゃぶり・こぶししゃぶり」

「本日はりく君の1歳6か月の歯科検診ですね」と話す医師、「はいよろしくお願いします」と赤ちゃんを膝に抱き向かい合って座るママの漫画イラスト「あらお手手に吸いだこが…」と赤ちゃんが口から出した手の指に吸いだこがあることに気づく医師、「こぶししゃぶりが毎日激しくて…」と言うママの漫画イラスト「歯が生え揃ってきたので最近おしゃぶりをやめたんですけど、口寂しいみたいで…」と赤ちゃんの指を見ながら説明するママの漫画イラスト「赤ちゃんはママのお腹にいるときから指やこぶしをしゃぶっています。おっぱいを飲む練習にもなり自然な行動なんです。うん、この程度なら大丈夫」と話す医師の漫画イラスト指・こぶししゃぶりをする理由の説明、歯が生え始めてかゆいとき、眠いとき、気持ちを安定させたいとき、3歳過ぎると周りを見てやめていく子も多い、説明を指さしている医師、聞いているママの漫画イラスト「4歳過ぎて昼夜問わず続けるときは気を付けて」とメガネに手をやり忠告する医師、驚いた顔のママの漫画イラスト4歳以降の指・こぶししゃぶりが与える影響の説明、歯並びが悪くなる、口呼吸が増える、発音・活舌が悪くなる、4歳を過ぎたらやめた方がいいでしょうという漫画イラスト「改善する方法がいくつかあるのでお伝えしますね」という医師、ほっとした顔で「お願いします」というママの漫画イラスト指・こぶししゃぶりの改善方法の説明、眠くなった時の場合は背中をトントンしたり、絵本を読むなど眠れるようサポートをしてあげるという漫画イラスト不安な時は「怖かったね、嫌だったね」などと言葉で不安な気持ちに共感してあげるといいという漫画イラスト「ストレスが原因の場合はしあったり苦い液体を指に塗るなど無理にやめさせる方法は逆効果です」という説明の漫画イラスト「吸いだこを痛がっていないようなが今は問題ありませんよ」という医師の言葉を聞いて、「安心しました!」と話すこぶししゃぶりをする赤ちゃんを抱いたママの漫画イラスト

赤ちゃんが指しゃぶりやこぶししゃぶりをする理由は?

赤ちゃんのしゃぶる行動の理由

赤ちゃんはママのお腹の中にいるときから、お乳を吸う準備として指しゃぶりをしています。新生児の口は哺乳に適した形をしていて、吸てつ行動(指しゃぶり、タオルしゃぶり、何でも舐めたり吸ったりすること)と歯や口腔の発育は密接に関わっているため、赤ちゃんが何かをしゃぶりたがるのは自然なことなのです。

0歳の赤ちゃんの指しゃぶり・こぶししゃぶり

赤ちゃんは、生後2~3か月頃に偶然手が口元にあたったのをきっかけに、指しゃぶりやこぶししゃぶりを始めます。自分の手をじっと見つめる“ハンドリガード”を始める時期でもあり、それらの行動は、赤ちゃんが自分の手を認識し、目や手、口を共に動かす協調運動を身につけるのに役立つといわれています。また、おもちゃなど周囲にある物も積極的に口に入れて確認しようとします。手や物を口に入れるのは、物の形や味を確かめるためであり、赤ちゃん期の指しゃぶりやこぶししゃぶりは発達過程の自然な行動と言えます。

1歳〜3歳頃の指しゃぶり・こぶししゃぶり

1歳を過ぎると、つかまり立ちやおもちゃを使った遊びの中で手を使うため、昼間の指しゃぶりの回数が自然と減っていく子もいます。中には、眠いときや退屈なとき、不安なときに指しゃぶりをする場合も多くみられ、これは気持ちを安定させるための行動なので、無理にやめさせる必要はないといわれています。また、3歳を過ぎると、それまで指しゃぶりをしていた子も保育園や幼稚園で他のお友達を見て指しゃぶりをやめることも多くなります。夜寝るときだけ指しゃぶりをするなど、短い時間の習慣的な指しゃぶりはそれほど気にする必要はありません。

4歳以降の指しゃぶり・こぶししゃぶり

4歳以降に昼夜問わず指しゃぶりをする場合は、歯並びや顎の形への影響が心配になってきます。歯科や子育ての相談窓口など専門機関へ相談して、指しゃぶりを自然にやめられるよう働きかけるといいでしょう。

「4歳過ぎて昼夜問わず続けるときは気を付けて」とメガネに手をやり忠告する医師、驚いた顔のママの漫画イラスト

指しゃぶりやこぶししゃぶりで気を付けることは?

傷や衛生面に注意

指しゃぶりによって口や顔を傷つけないよう、子どもの爪は短く切っておきましょう。指しゃぶりやこぶししゃぶりで口まわりや手がかぶれてしまう場合は、湿らせたコットンで拭いた後にワセリンを塗ると肌を保護できます。また、赤ちゃんの場合はこぶしの中や指の間にホコリなどを持っている場合も多いため、気になる場合はこまめにとりのぞきましょう。

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子どもの手をアルコール消毒してもいい?

色んなものに触れた手の雑菌が気になり、感染症を心配してアルコール消毒をしたくなる場合もありますよね。アルコールは揮発性が高いので、乾いて匂いもなければ舐めてしまっても問題ありませんが、何度もアルコール消毒を繰り返すと、子どもによっては皮膚が乾燥して荒れてしまうことがあります。また、アルコールにアレルギーがある子もいるため、アルコール消毒を使う場合は、その後の肌の赤みなどに注意しながら使うようにしましょう。

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吸いダコができるほどの指しゃぶり・こぶししゃぶりは大丈夫?

指しゃぶりをしていると、子どもの手に吸いダコができる場合があります。親としては指しゃぶりをやめさせなくては、と思うかもしれませんが、子どもが痛がっていなければ見守りましょう。血がにじんでいるなどかなり強い力で吸っている場合には、指を吸いそうになったタイミングでおもちゃを出すなど、無理なく気をそらす方法を試してみましょう。

「あらお手手に吸いだこが…」と赤ちゃんが口から出した手の指に吸いだこがあることに気づく医師、「こぶししゃぶりが毎日激しくて…」と言うママの漫画イラスト

指しゃぶりはやめさせたほうがいい?

赤ちゃんの指しゃぶりは、無理にやめさせる必要はありません。赤ちゃんが指しゃぶりやこぶししゃぶりをしたり、おもちゃなどを口に入れたりするのは、物の形や味を確かめるためで、発達過程の自然な行動です。歯が生え始めてかゆいときや、リラックスを求めて行うこともあります。また、ニュージーランドでは、指しゃぶりをした子の方がしなかった子よりも成人になったときのアレルギー発症の確率が下がるとの研究結果もあります。

指しゃぶりを始めたらおしゃぶりを与えた方がいい?

「指しゃぶりは衛生面が心配なので、おしゃぶりを与えた方がいいのでは?」そう考えるママもいるかもしれません。しかし、歯科の観点から見ても3歳頃までの指しゃぶりは無理にやめさせる必要はないといわれています。また、指しゃぶりに限らず、おしゃぶりを長時間くわえることで噛み合わせに影響が出る場合もあります。おしゃぶりの短時間の使用は問題ありませんが、指しゃぶりの代わりにおしゃぶりを与える必要はないでしょう。

4歳以降も指しゃぶりをやめない場合の影響は?

気を付けたいのは、4歳以降で昼夜問わず指しゃぶりをしている場合です。口呼吸が増えたり、歯やあごの発達に悪影響が出たりする可能性が高まるためです。吸い方や吸っている時間などの違いによって個人差はありますが、以下のような影響が出る可能性があります。

4歳以降の指・こぶししゃぶりが与える影響の説明、歯並びが悪くなる、口呼吸が増える、発音・活舌が悪くなる、4歳を過ぎたらやめた方がいいでしょうという漫画イラスト

上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎が前に出ている状態。いわゆる“出っ歯”。

開咬(かいこう)

前歯の上と下に隙間ができて噛み合わなくなる状態。オープンバイトともよばれる。

反対咬合(はんたいこうごう)、下顎前突(かがくぜんとつ)

上あごよりも下あごが前に出た状態。いわゆる“受け口”。

指しゃぶりをやめさせる具体的な方法は?

歯科では一般的に、3歳までは指しゃぶりをやめさせる必要はないといわれています。しかし、4歳以降で昼夜を問わず指しゃぶりをしている場合や、肌荒れや吸いだこがひどいなどの理由から早めにやめさせたい場合、まずは指しゃぶりをするシーンごとに対処してみましょう。

習慣的な指しゃぶりには

ある程度の年齢になると、「◯歳になったら指しゃぶりをやめようか」「◯◯組になったらやめようか」 など、誕生日や進級のタイミングでやめるよう働きかけるのも効果的です。指しゃぶりの悪影響が理解できるようになってくるので、「上手に噛んでご飯を食べられなくなるよ」などの簡単な言葉で説明するのもいいでしょう。また、指先を使うおもちゃや、他に集中できることを見付けてあげると、指しゃぶりをやめるきっかけになります。すでに歯並びへの悪影響が見られる場合も、4歳から5歳のうちに指しゃぶりをやめると、自然に改善する場合が多いといわれています。

眠る前の指しゃぶりには

寝かしつけのとき、手を握ったりトントンと背中を叩いてあげるなどして、指しゃぶりがなくても眠れるようにサポートしてあげましょう。指しゃぶりをやめるための絵本を読み聞かせるのも良いでしょう。

指・こぶししゃぶりの改善方法の説明、眠くなった時の場合は背中をトントンしたり、絵本を読むなど眠れるようサポートをしてあげるという漫画イラスト
ゆびたこ
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緊張や不安、ストレスによる指しゃぶりには

子どもの気持ちを「悲しかったね」「嫌な気持ちになったね」などの言葉で表して、共感してあげるとよいでしょう。指しゃぶりで心を落ち着かせようとしている子どもの気持ちを尊重することが大切です。

不安な時は「怖かったね、嫌だったね」などと言葉で不安な気持ちに共感してあげるといいという漫画イラスト

こんな行動は指しゃぶりを増やしてしまう!?

子どもに指しゃぶりをやめさせたいあまり、パパやママが焦って、つい強い口調になってしまうことはありませんか?

指しゃぶりする子へのNG対応例

  • 強く怒ったり叱ったりする
  • 苦い液体を爪先に塗る
  • 手を口に持っていこうとした時、先回りして強く指摘する
  • 「また指しゃぶりしてる!」などと頻繁に指摘する
  • 「指しゃぶりは恥ずかしいよ」「指しゃぶりをするのは赤ちゃんだよ」など、子どもの自尊心を傷つける言い方をする

これらは更にストレスとなって指しゃぶりが増えたり、子どもが親に隠れて指しゃぶりをしたりする原因にもなります。なるべく気持ちを尊重した働きかけをしましょう。

まとめ

赤ちゃんは生後2~3か月頃から、指しゃぶりやこぶししゃぶりが始まります。3歳までは歯並びへの影響はないため、無理に指しゃぶりをやめさせる必要はありません。4歳以降も続く場合は、なるべく子どもの気持ちを尊重しながら、指しゃぶりから気持ちを逸らせるように働きかけていきたいですね。 歯並びへの影響を考えると、早く指しゃぶりをやめさせなくてはと心配になりますが、親にとっても子どもの指しゃぶりがストレスにならないよう、「いつかはやめるだろう」と気楽に構えて見守ることも大切です。

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ずんこさん
ずんこ
タイ在住の日本人漫画家、イラストレーター。 日本でマンガ家アシスタントなどを経験後、シンガポールのローカルアートスクールにてマンガの描き方を教える。現在はタイ・バンコクを拠点にマンガ・イラストの制作をしている。他にも、シンガポールやベトナムのイベントに、マンガ風似顔絵ブースで参加をするなど、マンガを通してさまざまな人達と交流していきたいと活動を広げている。
参考文献
小児科と小児歯科の保健検討委員会「おしゃぶりについての考え方」
https://www.guide.metro.tokyo.lg.jp/trouble/tsume/pdf/06_02.pdf(最終閲覧:2023/6/10)
日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱 Q.指しゃぶりをします。どうすればよいですか?」
https://www.jspd.or.jp/question/until_school/(最終閲覧:2023/6/10)

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