- 対象期間
- 妊娠中・出産時
マンガ「破水」
破水とは?
赤ちゃんはママの子宮の中で、卵膜と呼ばれる袋の中で育ちます。その袋には羊水(ようすい)が満たされていますが、お産時に陣痛が始まると、卵膜が破れて膣から羊水が流れ出てきます。それを「破水(はすい)」といいます。
破水の種類
破水が起こる時期による分類
前期破水
前期破水(ぜんきはすい)とは、陣痛開始前に胎児の周りの羊水が流れ出ることです。予定日近くに起こることもあれば(妊娠37週以降は正期産とみなされます)、それ以前に起こることもあります。多くの場合、破水後まもなく陣痛が始まります。破水して6~12時間以内に陣痛が始まらない場合には、妊婦と胎児の感染リスクや胎児の姿勢の異常、胎盤が早い時期に子宮から剥がれてしまう(常位胎盤早期剥離)などのリスクが上昇します。
前期破水が妊娠37週未満に起こった場合、早期前期破水(そうきぜんきはすい)と呼ばれます。早期前期破水の場合は分娩も早まる(早産)可能性が高くなり、低出生体重児(未熟児)として産まれた場合、肺の機能問題、脳出血などのリスクが上昇します。
早期破水
早期破水(そうきはすい)とは、陣痛が来てから子宮口が全開大(10㎝)になるまでの間に破水したものを言います。
適時破水
適時破水(てきじはすい)とは、子宮口全開大の頃に破水したものを指します。
破水する部位による分類
高位破水
高位破水とは、子宮口から離れた部位で卵膜が破れ、羊水が漏れ出てくる状態を指します。高位破水の場合、羊水が大量に流出することはなく、チョロチョロと少量であることがほとんどです。そのため、尿漏れやおりものと間違えやすいのが特徴です。放置すると赤ちゃんへ感染症を引き起こす可能性があるため、破水かな?と思ったら、自己判断せず、すぐに病院や産院に連絡しましょう。
低位破水(完全破水)
低位破水とは、子宮口近くの卵膜が破れ、子宮口の栓が抜けたかのように大量の羊水が流出する状態を指します。分娩中のお産の進み具合を見て、助産師や医師の介助によって意図的に羊膜を破り、破水させることもあります。
前期破水・高位破水の原因
赤ちゃんの成熟を考えると、破水が妊娠37週以降の正期産(正常と考えられる時期のお産)の時期に起きてくれれば良いのですが、それよりかなり早く破水してしまう事もあります。
子宮収縮
切迫早産に伴って破水が起こることがあります。たまに軽い子宮収縮程度で破水が起こる事もあります。
子宮への圧力(腹圧など)
羊水の量が多い方や多胎妊娠の方は、通常より子宮の中の圧力が上がりやすくなります。また交通事故などがきっかけで子宮内圧の強い上昇が生じたり、転倒や重いものを持つなどして急激に腹圧がかかったりすることで破水につながることもあります。妊娠中の無理な性行為も同様です。
羊水検査による合併症
羊水検査で羊水穿刺(ようすいせんし)を行う際、非常に細い針を使用しますが、まれに卵膜が損傷し、前期破水を起こすことがあります。
感染症
膣炎などがもとになって、卵膜に雑菌などが入りこみ炎症を起こすと、卵膜がもろくなってしまい、破水を起こしてしまうことがあります。
喫煙
妊婦自身の喫煙は、妊娠の経過や胎児にさまざまな影響をもたらしますが、破水もそのひとつです。また、主流煙より副流煙のほうが有害とされており、同居家族が喫煙をしない場合に比べ、喫煙している場合にも早期破水の割合が高くなるというデータもあります。
その他の要因
その他、特に何の要因もなく破水してしまう、原因不明のケースも多いとされています。
尿漏れやおりものと破水の違い、見分け方
破水時に羊水が流れ出る量はさまざまで、ポタポタと落ちる程度から多量の場合まであります。お産が近づいてくると尿漏れも起きやすくなるので、少量だと破水との違いがわからないこともあります。破水と尿漏れやおりものとの違いを見分けるサインの例をご紹介します。
においが異なる
破水すると、生臭いにおい、異臭がするといったことが多いようです。尿のアンモニア臭とは違うにおいなら、破水の可能性が高いでしょう。一方で、羊水が全くにおわないという人もいて、感じ方には個人差があるようです。
破水の色
破水した場合、透明または薄い乳白色、淡く黄みがかった透明の液体であることが多いです。
破水(羊水)は温かい
羊水の温度は、体温より少し高い38度前後です。実際に羊水がたくさん漏れてきたとき、生ぬるいか少し熱いと感じることがあるかもしれません。お腹の中で赤ちゃんを包んでいるので、やや高い温度になっています。
破水時には音がすることも
破水をした瞬間、「プチッ」や「ポンッ」というような音がする場合もあるようです。ただし、高位破水の場合は、音もなく破水が起こることも。音の有無も個人差がありますが、聞きなれない音がすることもあると知っておくと、いざというとき冷静に対応できるかもしれません。
流れ出ていて止まらない
おりものや尿漏れの場合は、ショーツやおりものシートが少し濡れている程度の場合が多いですが、もしずっと流れ出ていたり、水分が止まらずに出ている場合には、破水の可能性があります。
破水したらどうする?
「破水したかも?」と思ったら、まずは病院や産院に電話して状況を伝えましょう。特に、陣痛よりも先に破水が起こった場合は、破水から時間が経つにつれて、菌などが子宮内に入り込み感染症を引き起こすリスクが高まりますので、破水と確信が持てない場合も遠慮せずに連絡しましょう。
また、破水するとどんどん羊水が出てくることが多いので、大人用オムツや大きな生理用ナプキンがあると安心です。それらがない場合は、清潔なバスタオルなどで代用します。
陣痛でも破水でも、車で産院へ移動する場合には妊婦さん自身が運転するのは避け、家族に運転をしてもらいましょう。妊婦さんが座るシートには、大きめのレジャーシートやごみ袋を広げ、その上にバスタオルを敷き、羊水の流出に備えるようにします。陣痛タクシーを利用するのもいいでしょう。そのまま入院となる可能性も高いので、出産準備として用意した荷物(母子手帳、健康保険証、受診券、現金など)を持っていくようにしましょう。
破水したらシャワーはダメ!
破水時のシャワーやお風呂は厳禁です。産道から雑菌が子宮に入り込み感染症を引き起こす可能性があるので、汚れたからといってお風呂やシャワー、ウォシュレットを使用するのはやめましょう。
陣痛タクシー(マタニティ―タクシー)とは?
各タクシー会社が行っている、妊婦さんを産院まで送り届けてくれるサービスです。タクシー会社に事前登録(無料)しておくと、陣痛がきたり、破水をしたりして病院へ行くことになったときに、24時間いつでも電話一本で迎えに来てもらえます。
タクシーの座席が防水対応されていたり、あらかじめ産婦人科の情報を登録しているので道案内をする必要がなかったりと、出産間近で余裕のない状況でも安心してお任せできます。このサービスは全国に普及してきていますが、利用を検討する場合は、まずはお住まいの地域が対応エリアかどうか確認をしておきましょう。
まとめ
お産の始まり方はひとそれぞれで、破水から始まる可能性も大いにあります。いざというときに慌てないよう、日ごろからトイレにいくタイミングや着替えるときに、おりものや尿の状態をチェックしておき自分の身体の状況を知りましょう。破水に気が付いたら、まずはかかりつけの病院や産院に連絡をし、その後はお風呂やシャワー、ウォシュレットは使用しないようにします。
産院に向かう際は、陣痛タクシーの利用も便利です。予めお住まいの地域の陣痛タクシーサービスを確認し、事前に登録しておくと安心ですよ。
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大変〜
これで安全に支障がでたら、どうするつもりなんだろうね国は、従来の10歳まででいいよ
私、いつも叩かれて腕を掴んで叩けないようにしたら怒られて…仕返しされても何も手出ししないお姉さん凄いと思いました。