

- 対象期間
- 妊娠中・出産時
- 費用・価格
- 40~80万円(出産育児一時金による補助あり)
※陣痛促進剤の利用や帝王切開への切り替え等、また入院中の食事やサービスによっても価格が異なる
マンガ「経腟分娩」



















経腟分娩とは?
経腟分娩(けいちつぶんべん)とは、胎児が産道を通って腟から産まれることです。自然分娩とも言われていて、日本で一番多い分娩方法です。陣痛促進剤やバルーンを使用した場合でも、腟から産まれたのであれば、経腟分娩となります。
経腟分娩(自然分娩)の場合、規則的な陣痛が始まってから、お産全体に要する時間は平均すると初産で約14時間、経産で約8時間と言われています。経腟分娩の場合の、一般的に入院期間は5~6日程で、初産婦は5日目、経産婦は4日目に退院します。
分娩予約について
お産をするには、経腟分娩や帝王切開などの分娩方法にかかわらず、分娩予約が必要です。病院によって、予約可能な時期、事前に支払う必要のある前金(分娩費用の一部を前払い)の有無や金額が異なります。
妊娠し、母子手帳の交付を受けたら、出産したい病院に連絡をしてみましょう。分娩予約は12週までに行うとしている病院もあれば、32週以降としている病院もあります。設備の整っている病院や、無痛分娩や和痛分娩に対応している病院などは人気があり、予約が取りにくいので、妊娠が分かったら早めに確認しておくとよいでしょう。
また、病院も受け入れ数に限りがあります。タイミング的に近い予定日の人が重なっているなど、ベッド数の兼ね合いで断られる場合もあるので、注意しましょう。
経腟分娩の種類
自然分娩
自然分娩の定義はあいまいですが、一般的に自然に破水や陣痛を待って、赤ちゃんが産道を通って膣から産まれる分娩方法を指します。医療介助を行わずに出産することを自然分娩とする解釈もある一方で、陣痛促進剤を使用したり、吸引分娩や鉗子(かんし)分娩であっても、産道を通ったお産を自然分娩とする病院も多くあります。
計画分娩(誘発分娩)
計画分娩は、あらかじめ決めておいた出産の日に人工的に陣痛を起こし出産を促す分娩方法のことです。計画分娩は、大きく経腟分娩と帝王切開の二つに分けられます。誰にでも行うわけではなく、医学的に必要な場合と、妊婦の希望により行う場合があります。産院によっては無痛分娩との併用もできます。
無痛分娩(和通分娩)
無痛分娩は、麻酔を用いて陣痛の痛みを和らげる分娩方法です。一般的には、硬膜外麻酔を用います。無痛分娩は、計画的に行う場合と、自然に陣痛が来てから行う場合があります。また、全ての病院で無痛分娩ができるわけではないので、無痛分娩を希望する場合は、病院選びの際に無痛分娩に対応しているか確認してから予約するようにしましょう。
陣痛はいつ始まる?前兆は?
経腟分娩の場合のお産の始まりは人それぞれですが、陣痛の前兆や予兆には、以下のようなものがあります。
生理や下痢のような腹痛、少量の出血
陣痛の始まりの痛みは、生理痛や下痢の腹痛に近いと感じる人も多いです。また、おしるしとよばれる子宮からの少量の出血がある場合もあります。
腰痛
お腹が痛くなることも多いですが、腰に痛みを感じる人もいます。
前駆陣痛
本陣痛が始まる前に不規則な痛みを感じる人もいます。前駆陣痛を感じない人もいます。
破水
破水からお産が始まることもあります。破水にも個人差があり、ちょろちょろと進行する場合や一気に流れ出る場合もあります。

経腟分娩で病院に行くタイミングは?
病院へ行くタイミングは、初産と経産の場合で異なることが多いです。そして、自宅から産院までの距離や交通手段も考慮する必要がありますので、病院に行くまでに時間がかかる場合は、事前に産院に伝え、連絡のタイミングを相談しておきましょう。
初産の場合
陣痛が10分間隔か、1時間に6回程度起こった時点で病院に電話をし、指示に従い入院します。
経産の場合
陣痛が15分間隔になったら、病院に電話をし、指示に従い入院します。
母子手帳の「分娩所要時間」とは
一般的に、母子手帳の「分娩所要時間」の項目には、陣痛が10分間隔になってから出産するまでの時間が医師によって記載されます。
すぐに入院が必要となる場合
破水
赤ちゃんは子宮の中で羊膜と呼ばれる丈夫で薄い膜で作られた袋の中で育ちます。その袋には水が満たされており、その水を「羊水(ようすい)」と呼んでいます。お産の時に陣痛が始まると羊膜が破れ、膣から羊水が流れ出てくることを「破水」といいます。
破水した時は清潔な生理用ナプキンを当て、すぐに病院に連絡して指示を仰ぎます。多くの場合は、そのまま病院に向かい、入院となります。なお、破水時のシャワーやお風呂、ウォシュレットは厳禁です。産道から雑菌が子宮に入り込み感染症を引き起こす可能性があるので、汚れたからといってお風呂やシャワー、ウォシュレットを使用するのはやめましょう。

出血や激しい腹痛がある
サラサラとした出血があったときは、すぐに病院に連絡をしましょう。出血が少量で粘度があればおしるしと考えられますが、多量の出血が起きた場合は早期胎盤剥離などのリスクがあります。少量であってもサラサラとした鮮血があったときは、病院に連絡をしましょう。また突然、激しい腹痛があったときも、すぐに病院に連絡してください。
診察後に自宅へ戻る場合も…
心配のあまり慌てて病院に行っても、早く生まれるわけではありません。途中で陣痛が遠のいてしまい、実は本陣痛ではなく前駆陣痛だった…ということもめずらしくありません。その場合、一度自宅に戻るよう指示されることもあります。
入院時の注意
必要な入院グッズは事前に病院に確認しておき、いつ入院となってもいいように、バッグに詰めてすぐに持ち運べる状態にしておきます。
お化粧やマニキュアは落としておく
入院時、本当の肌の色や爪の色がわからないため、万が一を考え、落としておきましょう。ジェルネイル等はしないでおきます。
指輪とコンタクトは外しておく
指輪は、指がむくんで痛くなることがあるので、外しておきます。また、コンタクトレンズも目を傷つけてしまうことがあるので外しておきましょう。
経腟分娩での出産の流れ
陣痛から分娩までの流れは、大きく3つに分けることができます。
分娩第一期
陣痛の始まりから、子宮口が全開になるまでの期間です。
分娩第一期全体の所要時間は、初産の場合は10〜12時間、経産の場合は4〜6時間程度です。第一期は、さらに初期・活動期・活動後期の3つに分けることができます。
分娩第一期 初期
生理痛のような痛み、腰痛、消化不良、下痢などの症状が出てきます。初期は、自宅や産院の病室で過ごすことが多いです。
- 子宮口
- 約0~2.5cm
- 陣痛の間隔
- 10分以内(痛みの持続時間 10~20秒)
- 経過時間
- 9〜20時間(経産では14時間以内。初産でも、9時間かからない場合もある)
- 痛み
- まだ耐えられる程度

分娩第一期 活動期
陣痛が進んで、子宮収縮が強く長くなり、腰痛や疲労感の増加などの症状が現れてきます。活動期になると、陣痛室へ移動することもあります。最近ではLDR(陣痛室・分娩室・回復室が一体となった個室)が利用できる病院も増えています。
- 子宮口
- 2.5cm~4cm
- 陣痛の間隔
- 5~7分(痛みの持続時間 20〜40秒
- 経過時間
- 2~3時間
- 痛み
- 徐々に強くなっていく

分娩第一期 活動後期
さらに陣痛が進み、子宮口が全開に向かって急速に開いていきます。腰や会陰(えいん)に強い圧迫感を覚え、吐き気をもよおす場合も。ここまでに数時間経過していることも多く、体力や気力の限界を感じることもあります。分娩室へ移動し、分娩台にあがります。
- 子宮口
- 5㎝~9㎝
- 陣痛の間隔
- 2~3分おき(痛みの持続時間 30〜90秒)
- 経過時間
- およそ1時間
- 痛み
- 痛みがピークに差し掛かり、耐えがたい痛みになる

なぜいきんじゃダメなの?
子宮口が7~8㎝くらいに開く活動後期には、強烈にいきみたくなります。しかし、このタイミングでいきみ続けると、産道や子宮口を傷つけたり、まだ生まれる準備ができていない赤ちゃんにストレスをかけ、お産が長引く可能性も。いきむことでママ自身の体力も消耗してしまいますので、パパや家族のサポートを受けたり、助産師の指示に従って、うまくいきみのがしをしていきましょう。
分娩第二期
子宮口が全開になってから赤ちゃんが出てくるまでの期間です。ここで破水をすることもあります。助産師の指示に従い、子宮の収縮に合わせていきみます。お産の状況により、この段階で会陰切開(えいんせっかい)が行われます。
- 子宮口
- 約10cm(全開)
- 陣痛の間隔
- 2~3分(痛みの持続時間 40~60秒)
- 所要時間
- 初産で約1時間30分、経産で30分~1時間

分娩第三期
赤ちゃんが産まれてから胎盤が出てくるまでの期間です。赤ちゃんが産まれると子宮が縮小して、5分程経つと後陣痛と呼ばれる弱い陣痛が起こり、胎盤がはがれて出てきます。約20~30分以内で、最長でも1時間以内に胎盤が出てきます。後産(あとざん)とも呼ばれます。
- 所要時間
- 初産で15~30分、経産で10~20分

分娩前の浣腸、導尿、剃毛…絶対に必要?
以前は分娩前に必ず行っていたという浣腸(かんちょう)や導尿(どうにょう)、剃毛(ていもう)などの処置は、現在は産院や医師の方針によって、行わない施設も多くなりました。気になる方は予め分娩予定の病院に確認をしておくとよいでしょう。
浣腸
赤ちゃんが生まれるときにいきむことで、力が入り、自然と便(うんち)が出てしまうことがあります。そのため、分娩が始まる前に予め浣腸をしておくことで、下半身を清潔に保つことを目的として行なわれることがあります。
導尿
陣痛が進み、赤ちゃんの頭が下がって、トイレに行くことや自力での排尿が難しくなった場合、医師の判断で導尿をすることがあります。膀胱内に尿が溜まっていると、お産のときに赤ちゃんが下がりにくく、また陣痛が弱くなることもあるためです。
剃毛
お産の際の剃毛では、予め膣や肛門の陰毛を剃ることがあります。会陰切開をした際や会陰裂傷が起きた際にも、陰部を清潔に保ち、縫合することができます。
陣痛の痛みを和らげる方法は?
一般的に、陣痛で一番つらいと感じるのは、痛みが最高潮になり、いきみたいのにいきめず耐えなければいけない分娩第一期の活動後期ごろです。周りのサポートや呼吸法で、上手にいきみ逃しをしていきましょう。
腰やお尻を押していきみ逃がし
いきみをやりすごすには、陣痛がきたタイミングで、腰やお尻の穴を強く押す方法があります。立ち会いする家族や助産師さんに手で押してもらったり、テニスボールやゴルフボールを利用してサポートしてもらったりすると、陣痛の強い痛みを和らげることができます。

呼吸法を利用していきみ逃がし
呼吸法は、陣痛の痛みから気をそらし、心身をリラックスさせるための方法のひとつです。痛みのあまりつい息を止めてしまいがちですが、そうすると赤ちゃんに酸素を届けられなくなってしまいます。しっかり呼吸をして、血液中に酸素をたくさんめぐらせ、おなかの赤ちゃんに酸素をいきわたらせましょう。息を吐くことに意識を集中させると、固くなった筋肉の緊張がとれ、気持ちもリラックスします。
代表的な呼吸法をご紹介します。実際のお産のときは助産師さんが呼吸をサポートをしてくれますが、事前に練習しておくと安心ですよ。
●ラマーズ法
ラマーズ法は、お産の進行によって、いくつかの呼吸があります。
陣痛が始まったとき
ゆっくり鼻から息を吸って、口から深く吐きます。子宮口が開いてきたら、息を吸って「ヒー」と吐き、短く吸ってまた「フー」と吐くという、ヒーフー呼吸を繰り返します。
陣痛が強まってきたとき
出産シーンで有名な「ヒッヒッフー」の呼吸法を行います。「ヒッ、ヒッ」と短く吐いてから「フー」と少し長めに息を吐きます。さらに陣痛が強くなってきたら、「ヒッヒッフー」の呼吸のあとに、いきみに合わせて「ウン」と言って鼻から息を抜き、いきみを逃します。子宮口が全開になるまでは、この呼吸を行います。

いきむとき
助産師さんからいきむよう指示があったら、「ヒッヒッフー」の呼吸のあとに、陣痛の波に合わせて「ウン」と言っていきみます。赤ちゃんの頭が見え、いきむのを止めるよう合図があったら、全身の力を抜いて「フーフー」とゆっくりした呼吸に切り替えてリラックスします。
●ソフロロジー法
妊娠中から、出産のイメージトレーニングやヨガエクササイズ、呼吸法(腹式呼吸)を用いて出産に臨む方法で、陣痛の痛みや緊張を和らげる効果があるといわれています。
陣痛の強い波がきたら、ゆっくり長く息を吐いて痛みを逃し、波が去ったら力を抜いてリラックスします。子宮口が全開になって痛みが強くなったら、子宮の収縮に合わせながら息を吐きます。赤ちゃんが産まれるまで、この腹式呼吸を繰り返します。
まとめ
妊娠がわかったら、多くの人が思い浮かべるのが破水や陣痛から始まるお産である経腟分娩(自然分娩)でしょう。経腟分娩の種類や、分娩までの流れと分娩の段階、いきみ逃しや呼吸法について知っておくことで、妊娠中のお産の不安をやわらげる材料になります。

- 出産育児一時金とは?支給額と申請方法について
- 出産育児一時金(しゅっさんいくじいちじきん)とは、国民健康保険や健康保険(社会保険)などの被保険者やその家族(被扶養者)が出産した際に、一定の金額が給付される制度です。この記事では、出産育児一時金の…

- 帝王切開は大丈夫? 手術の流れや術後の様子、傷跡や痛みについてマンガで解説【保健師監修】
- ママのお腹を切開して赤ちゃんを出産する帝王切開。経膣分娩中でも状況により緊急帝王切開となる場合もあるので、妊娠中のママはしっかりと理解しておきましょう。ここでは手術の流れや術後の様子、帝王切開の次の…

- 立ち会い出産する?しない?後悔しないためのメリット・デメリットを徹底解説
- 妻の出産に夫が付き添い、誕生の瞬間を分かち合える立ち会い出産。出産への恐怖や不安がやわらぎ、さらに家族の絆が深まってその後の子育てがしやすくなるというメリットがある一方で、後悔したという話を見聞きす…
-
Post
-
シェア
-
LINEで送る
なおファミリーの他のマンガを読んでみよう
他のマンガにもコメントが届いています。
ヤギともさんいいですね
ナイスです!!ママさん頑張って!息子さんも頑張ったね!!!!!!!!ご褒美も頑張った印だよ! 私も褒めたくなっちゃう !!!
確かに差は違うもんね