赤ちゃんの予防接種による副反応とは?対処法についても解説!【保健師監修】
ふくはんのう
公開日 2023.05.17
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イラスト・ぴよととなつきさん
ぴよととなつきさん
対象期間
予防接種後30分から、不活化ワクチンは1週間、生ワクチンは4週間程度
費用・価格
症状が軽い場合は自然治癒するため、特に費用なし
症状が重い場合やほかの病気が疑われる場合は診療代が発生
副反応という言葉を聞いたことはありますか?予防接種の時などに説明を受けたという方も多いかもしれません。この記事では、予防接種後に起きる発熱や腫れなどの好ましくない反応、副反応について解説します。副反応が起きたときの対処法などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。【保健師監修】【マンガ解説】

マンガ「副反応」

生後2か月の赤ちゃんの予防接種の予診票を記入するママの漫画イラスト問診票に書かれた副反応を心配するママの漫画イラスト赤ちゃんの初めての予防接種を心配するママの漫画イラストすうすう眠る赤ちゃんと予防接種について話し合うママとパパの漫画イラスト病院の受付でママに予防接種の説明をしている看護師の漫画イラスト予防接種の副反応の症状を説明する看護師の漫画イラスト予防接種の副反応が出る確率を説明をしている看護師の漫画イラスト副反応と副作用の違いについて質問するママの漫画イラスト予防接種後は病院内で様子を見るようママに説明をしている看護師の漫画イラストこんな副反応が出たら相談が必要だと解説しているの漫画イラスト副反応を怖がるママと感染症の重症化のリスクを説明する看護師の漫画イラスト病気の後遺症と予防接種の関連性を看護師がママに説明する漫画イラスト予防接種の副反応が出る可能性の低さについて説明する看護師の漫画イラスト注射をこれから受けようとする赤ちゃんを支えるママの漫画イラスト注射を打った赤ちゃんの泣き声が響き渡る病院内の漫画イラストギャン泣きの赤ちゃんをあやすママと寄り添う看護師の漫画イラスト赤ちゃんの予防接種の様子をママに聞くパパの漫画イラスト普段より不機嫌な赤ちゃんと副反応について話すママの漫画イラストお弁当を買ってきたパパと赤ちゃんに授乳するママの漫画イラスト

副反応ってどんなもの?

副反応(ふくはんのう)とは、インフルエンザや小児の定期接種などの予防接種でワクチンを投与したときに、免疫ができること以外の好ましくない反応のことを指しています。主な症状としては、発熱・注射部位の腫れなどです。

副反応はなぜ起きるの?

予防接種は、細菌やウイルスの毒性をなくしたり、毒性を弱めた生きたウイルスを投与することで免疫をつけるものです。このとき、多くの場合は特別な症状が出ませんが、中にはそのウイルスの症状が、発熱などの形で軽く症状として出てしてしまうことがあります。これが副反応の起きる仕組みです。こう聞くと予防接種が怖いと感じる方もいるかもしれませんが、副反応は実際にその病気に罹るよりもはるかに症状が軽いです。また、数日で自然に治まることがほとんどで、心配はいりません。

副作用と副反応はちがうもの?

副反応と似た言葉で「副作用(ふくさよう)」というものがあります。副作用は、風邪薬や胃腸薬などの医薬品を服用したときに出る好ましくない反応のことを指します。好ましくない反応という意味では、どちらも同じ意味を持ちますが、医薬品によって起きる症状を「副作用」、ワクチンによって起きる症状を「副反応」と区別されています。

副反応はいつ起きる?どれくらいの確率で起きる?

副反応はワクチンを投与したことで起きます。そのため、発生のタイミングは「予防接種のあと」です。

副反応が起きるタイミング

個人差がありますが、以下の期間は副反応が起きる可能性があります。子どもの様子を注意して観察しておきましょう。

  • 全ワクチン:早ければ接種後30分
  • 生ワクチン:接種後4週間程度
  • 不活化ワクチン:接種後1週間程度

副反応が起きる確率

副反応の発症確率はワクチンの種類によって差があります。また個人差もあるものですが、発熱などの軽度なものも含めると、おおむね数%~30%で現れるとされています。

副反応と見分けにくい「紛れ込み反応」

予防接種後に現れる症状は、すべてが副反応とは限りません。別の原因による症状が、たまたま予防接種をしたあとに現れる場合もあります。これを「紛れ込み反応」と呼びます。
例えば、予防接種後に発熱すると副反応だと思いがちですが、実は予防接種とは関係がない中耳炎だった、ということもあります。
副反応と紛れ込み反応の見分け方については、その時の状況や子どもの体質等さまざまな要因が必要になるため、確実な方法はありません。気になる場合は医療機関を受診しましょう。

副反応の代表的な症状と対応

現在、日本で使用されているワクチンはどれも副反応が少ないものですが、子どもの体質によっては、副反応が起きる場合もあります。万が一発生したときにすぐ対応できるように、心がけや対処法を押さえておきましょう。

予防接種の前後で注意しておくこと

予防接種を受ける前

医師に最近の子どもの体調などを伝え、安全に接種できるようにしっかり診察してもらいましょう。元気な時に予防接種をすれば副反応も軽いことが多いです。逆に、体調が悪い場合には副反応が強く出る可能性もあるため、医師の判断で予防接種を見送ることもあります。また、接種前にワクチンについては副反応の内容も含めて、事前に医師から説明がありますが、気になる点があればしっかり確認をしましょう。

予防接種を受けた後

すべての予防接種で、接種後30分程度は急な副反応に備えておきましょう。病院内で待機する、もしくは病院を出る場合でも、医師とすぐ連絡をとれるかすぐに病院に戻れる距離にいることが望ましいです。医師から30分間は院内で様子を見るよう指示されることもあります。

副反応の主な症状

副反応の症状は軽いことが多く、基本的に医療機関の受診が必要になることはほとんどありません。副反応の症状はワクチンによって異なりますが、多くのワクチンに共通する代表的なものをご紹介します。

接種部位の腫れ

副反応による接種部位の腫れ・赤み・しこりなどは、おおむね1週間程度で自然に治まります。気になる場合は冷たいタオルで冷やしてあげるとよいでしょう。

発熱

37.5℃以上の発熱も、長くて2日ほどで自然に下がることが多いです。様子に注意しつつ経過観察をしましょう。

発疹

副反応による発疹は、多くは数日のうちに自然に引いていき、発疹のあとも気にならなくなります。発疹の出た箇所は清潔に保つようにしましょう。

不機嫌・食欲不振

副反応による不機嫌・ぐずりや食欲不振もみられることがありますが、数日のうちに自然と治まっていきます。

予防接種の副反応の症状を説明する看護師の漫画イラスト
 

こんな副反応の症状はすぐに受診を!

副反応は自然に治まることが多いものの、以下のような症状が見られる場合は、注意が必要です。別の病気や重大な副反応(アナフィラキシーなどの重いアレルギー反応・脳炎・脳症など)の可能性が考えられます。明らかに子どもの体調が悪い、様子がおかしいと感じた場合は、ただちに医療機関を受診しましょう。

高熱、発熱が長引く

目安は、おおよそ37.5℃以上の発熱があり食事や水分がとれない、いつもと様子が違う、または発熱が翌日以降も続いている場合など。

接種部位がひどく腫れる

接種した部位がひどく腫れ、動かしにくい、痛みが強い場合など。単なる腫れではないと感じたら、医療機関を受診しましょう。

けいれん、しびれ

けいれんや指先・手足にしびれを感じる場合も、注意が必要です。

下痢、嘔吐、激しい発汗

ロタウイルスの予防接種など、もともと副反応として下痢が起こるとされているものもあります。しかし、ひどい下痢や嘔吐、発汗などがあり、いつもと違う・おかしいと感じたら、医療機関を受診しましょう。

その他の症状

子どもの意識がもうろうとしているなど、緊急を要するような症状など。

予防接種の副反応が出る確率を説明をしている看護師の漫画イラスト
 

生ワクチンはより注意を

生ワクチンは、毒性を弱めたウイルスまたは細菌を使用しています。そのため、生ワクチンの接種後にまれに対応する病気と同じ症状があらわれることがあります。これは体内の免疫が反応して出るもので、通常は軽度で発病までには至りません。しかし、重い症状があらわれた場合は医療機関を受診してください。

副反応Q&A

市販の解熱剤を使っても大丈夫?

予防接種後の発熱では、その原因や年齢によって使用できない解熱剤もあります。そのため、自己判断で使用せず、まずは医師に相談しましょう。

副反応で出る発疹は、他人にうつる?

主に麻しん・風しん・MR・BCGの副反応として発疹が確認されています。症状は軽度であるため、他人にうつる心配はありません。

予防接種で健康被害が生じたら

予防接種を受けたことで重大な副反応が起きて健康被害が生じてしまったとき、本人や家族からの申し出によって救済制度の利用申請を行うことができます。その補償内容は、定期接種か任意接種かで違いがあります。

定期接種の補償

定期接種後に重い副反応が起こり、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定すると、予防接種法による救済措置を受けることができます。(予防接種健康被害救済制度)
例えば、「定期接種」を受けたことで、不幸にも子どもが死亡することがあれば、予防接種健康被害救済制度により、4,530万円(令和5年4月現在)が支払われることになっています。

※救済措置の給付額は約2年ごとに見直されています。

任意接種の補償

任意接種(定期接種になっていないものと定期接種の対象年齢を過ぎてからの接種)の場合、健康被害が生じたときは、予防接種法ではなく「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」という法律に基づく給付を受けることになり、子どもの死亡時の給付額は754万2,000円(令和5年4月現在 遺族一時金)です。

予防接種による健康被害は極めて稀ですが、リスクはゼロではありません。接種対象年齢のうちに「定期接種として受ける」か、過ぎてから「任意接種として受ける」かによって、補償にこれだけの差が生じます。定期接種として受けられる予防接種は、対象年齢のうちに受けるようにしましょう。

※申請に必要となる手続き等については、予防接種を受けられた自治体へ問い合わせましょう。

まとめ

多くの場合、副反応は症状が自然に治まりますので、あまり怖がる必要はありません。実際にその病気に罹るよりも、はるかに症状は軽いことがほとんどです。予防接種の効果と副反応をよく理解したうえで、主治医とも相談しながら接種を判断していきましょう。


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保健師・SHIHOさん
保健師・SHIHO
10年以上にわたり自治体保健師として感染症や母子保健などの業務に従事し、多くの住民に寄り添い支援を行う。他にも、病院看護師としての臨床経験や学校保健師としての業務経験など、幅広く公衆衛生に従事する経験を持つ。現在、一人娘を育てながら、ICTを使ってより多くの人々の健康支援に寄与できるよう、育児コラムの編集・監修などにも活動を広げている。趣味は映画鑑賞。
ぴよととなつきさん
ぴよととなつき
「いい加減(良い加減)育児」を心がけています。頑張りすぎないように頑張る!
参考文献
日本小児科学会「予防接種の副反応と有害事象」
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_04hukuhannou.yuugaijisyou.pdf (最終閲覧:2023.5.12)
日本ワクチン産業学会「ワクチンについて よ~くわかる予防接種」
http://www.wakutin.or.jp/data/mother/vaccination6.html (最終閲覧:2023.5.12)
日本小児科学会「BCGワクチン」
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_15BCG.pdf (最終閲覧:2023.5.12)
国立成育医療研究センター「予防接種後の有害事象」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000167047.pdf (最終閲覧:2023.5.12)

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