小児用肺炎球菌ワクチンの予防接種スケジュールは?いつから打てる?【保健師監修】
しょうにようはいえんきゅうきんわくちん
公開日 2023.05.17
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イラスト・ずんこさん
ずんこさん
対象期間
生後2か月〜5歳の誕生日前日まで
費用・価格
定期接種の場合は無料/任意接種の場合は全額自己負担
小児用肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による感染症を予防します。一般的な接種スケジュールでは、生後2か月から全4回、定期接種します。小児用肺炎球菌ワクチンの概要、接種時期、対象、回数、副反応についてご紹介します。【保健師監修】【マンガ解説】

マンガ「小児用肺炎球菌」

5歳未満の子どもが罹りやすい肺炎球菌の注意喚起をするおまめちゃんの漫画イラスト肺炎球菌がどのような症状を引き起こすのか解説するおまめちゃんの漫画イラスト肺炎球菌は細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎などの感染症を引き起こすことを解説するおまめちゃんの漫画イラスト髄膜炎にかかる患者の50%が0歳児であることを説明するおまめちゃんの漫画イラスト小児肺炎球菌の予防接種スケジュールを説明するおまめちゃんの漫画イラスト細菌性髄膜炎の乳幼児の死亡例を説明するおまめちゃんの漫画イラスト小児用肺炎球菌ワクチンの予防接種を推奨するおまめちゃんの漫画イラスト

小児用肺炎球菌ワクチンとは?

小児用肺炎球菌ワクチンとは、肺炎球菌による感染症を予防するワクチンです。日本では2013年4月から定期接種になっています。予防接種を受けることにより13種類の肺炎球菌血清型に対する抗体ができ、かかりにくくなります。

小児用肺炎球菌ワクチン接種の費用

定期接種の期間中は無料で受けられます。それ以外の期間は任意接種となり、全額自己負担で接種することになります。

小児用肺炎球菌ワクチンの接種時期・スケジュール

生後2か月〜5歳の誕生日前日まで接種できます(5歳以上6歳未満は任意接種)。標準的なスケジュールでは4週間隔で3回、生後12〜15か月未満に4回目を接種します。初回の接種月齢・年齢(生後2か月〜7か月までに開始できなかった場合)によって接種間隔・回数が異なります。

ワクチンの種類・接種方法

小児用肺炎球菌ワクチンの種類は不活化ワクチンで、接種は通常、皮下注射で行なわれます。

同時接種できるワクチン

小児用肺炎球菌ワクチンと同時接種できるワクチンの組み合わせや本数に制限はありませんが、スケジュール上、同時接種しやすいのは次のワクチンです。

  • 生後2か月
    Hib(ヒブ) / B型肝炎 / ロタウイルス / 四種混合
  • 生後3か月
    Hib(ヒブ) / B型肝炎 / ロタウイルス /四種混合
  • 生後4か月
    Hib(ヒブ) / ロタウイルス(5価) / 四種混合
  • 1歳
    Hib(ヒブ) / 四種混合 / MR / おたふくかぜ / みずぼうそう

副反応

現在使用されている小児用肺炎球菌ワクチンは、13の血清型について子どもの細菌性髄膜炎などを予防するようにつくられた13価肺炎球菌結合型ワクチンという不活化ワクチンです。ワクチンの主な副反応として、発熱、易刺激性、注射部位の赤斑、腫脹(はれ)、硬結(しこり)、疼痛(とうつう)です。重い副反応については、ショック・アナフィラキシー様症状、けいれん、血小板減少性紫斑病などの副反応がまれに生じる可能性があります。

肺炎球菌とは?

肺炎球菌がどのような症状を引き起こすのか解説するおまめちゃんの漫画イラスト

肺炎球菌は、乳幼児の上気道に感染すると、ときに細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎などの重篤な全身感染症や中耳炎、副鼻腔炎などの気道感染症を起こす細菌です。

肺炎球菌による感染症

肺炎球菌とHib(ヒブ)は、細菌性髄膜炎の原因となる細菌です。細菌性髄膜炎とは、細菌が脳や髄膜に感染する感染症で、年間約1,000人の子どもが罹っていると推測され、約50%が0歳児です。罹患している子どものうち、約5%が亡くなり、約25%に重い後遺症を引き起こすといわれています。その原因菌の約60%がインフルエンザb型(ヒブ)、約30%が肺炎球菌によるものですが、これらに対するワクチンを接種することで、高い予防効果が認められています。

細菌性髄膜炎の原因と感染経路

主に飛沫感染により感染します。

細菌性髄膜炎の主な症状と経過

乳幼児の場合、血液中に侵入して、菌血症(血流中に細菌が存在する状態)を起こすことがあります。菌血症から敗血症(全身性の炎症反応)になると、血圧低下、血管内で血液が凝固し無数の血栓ができるDIC(播種性血管内凝固症候群)、臓器不全などの重篤な症状を引き起こす場合があります。菌血症から脳や脊髄を包む髄膜に炎症(髄膜炎)をきたすと発熱、頭痛、意識障害、けいれんなどが見られます。

5歳未満の乳幼児期に気をつけたい理由

細菌性髄膜炎は生後3か月~5歳の乳幼児が感染することが多く、特に2歳以下が多くなっています。髄膜炎にともなう合併症として発達・知能・運動障害のほか、難聴(聴力障害)などがあり、重症化すると死亡することもあります。

まとめ

小児用肺炎球菌ワクチンは、乳幼児の死亡例も少なくないので予防のために必ず接種したいワクチンのひとつです。 全4回の接種が必要で、できれば生後2か月から接種を開始しましょう。他の予防接種との同時接種もできますので、スケジュールを確認し、計画的に予防接種を進めましょう。


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保健師・SHIHOさん
保健師・SHIHO
10年以上にわたり自治体保健師として感染症や母子保健などの業務に従事し、多くの住民に寄り添い支援を行う。他にも、病院看護師としての臨床経験や学校保健師としての業務経験など、幅広く公衆衛生に従事する経験を持つ。現在、一人娘を育てながら、ICTを使ってより多くの人々の健康支援に寄与できるよう、育児コラムの編集・監修などにも活動を広げている。趣味は映画鑑賞。
ずんこさん
ずんこ
タイ在住の日本人漫画家、イラストレーター。 日本でマンガ家アシスタントなどを経験後、シンガポールのローカルアートスクールにてマンガの描き方を教える。現在はタイ・バンコクを拠点にマンガ・イラストの制作をしている。他にも、シンガポールやベトナムのイベントに、マンガ風似顔絵ブースで参加をするなど、マンガを通してさまざまな人達と交流していきたいと活動を広げている。
参考文献
日本小児学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 」
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=138 (最終閲覧:2023.04.30)