- 対象期間
- 授乳中(特に授乳開始初期に起こることが多い)
- 費用・価格
- 医療機関での診察代。乳房マッサージを受ける場合は初診で5,000円前後かかることが多い
マンガ「乳腺炎」
乳腺炎とは?
授乳中は何かと乳房トラブルが起こりやすい時期。その中でもよく聞く症状が、乳腺炎(にゅうせんえん)です。乳腺炎になると、授乳中のおっぱいに激しい痛みが生じ、悪化すると熱が出たり、切開手術が必要になったりすることもあり、産後のママにとっては非常に辛い病気です。
乳腺炎の症状
乳腺炎になりかけている状態
乳腺炎になりかけている状態では、おっぱいの張りを感じる、硬くなっている部分やしこりがある、押すと痛みを感じる、などの症状があります。また、赤ちゃんがあまり母乳を飲んでくれなかったり、授乳しようとすると乳首をペッと吐きだしたりなど、赤ちゃんがまるで母乳を美味しくないと感じているかのような行動をとることもあるようです。そのような場合には、乳腺が炎症を起こしている可能性があります。
乳腺炎を起こしている状態
上記の症状に加えて、おっぱい全体の腫れ、痛み、乳首の白斑(はくはん)、皮膚の赤み、熱感、発熱などの症状が見られます。ママの体調不良により、授乳が困難になる場合があります。
乳腺炎の種類と原因
乳腺炎は、症状の度合いや原因、経過などによって、急性乳腺炎と慢性乳腺炎に分けられます。
急性乳腺炎
急性の乳腺炎は、主に以下の2種類が多く見られます。
うっ滞性乳腺炎
うっ滞性乳腺炎(うったいせいにゅうせんえん)は、乳腺内で母乳が詰まっていることが原因で、乳腺が炎症を起こしている状態です。母子ともに授乳に不慣れな産後6~8週に発症しやすく、赤ちゃんの吸う力が弱く上手に飲めていなかったり、乳管がじゅうぶんに開いていなかったりする場合に起こりやすくなります。主に以下のような症状が出ますので、確認してみましょう。症状が軽い場合には、セルフケアで改善することもあります。
【うっ滞性乳腺炎の主な症状】
- 乳首が痛い
- 乳房がまだらに赤みを帯びて腫れる
- 熱を帯びる
- 硬くなり押すと痛みがある
- 微熱がある
化膿性乳腺炎
化膿性乳腺炎(かのうせいにゅうせんえん)は、黄色ブドウ球菌などの細菌の感染が原因で、発症します。乳頭や乳房にできた傷から細菌が入り込んで発症したり、うっ滞性乳腺炎が誘因となることもあります。主に以下のような症状が出ます。うっ滞性乳腺炎と違ってセルフケアが困難なため、医療機関での受診が必要になります。
【化膿性乳腺炎の主な症状】
- 突然の悪寒があり、38℃以上の高熱が出る
- 乳房が赤みと熱を帯びて腫れ、激しい痛みを伴う
- 重症化すると乳腺内に膿が溜まる
慢性乳腺炎
慢性乳腺炎(まんせいにゅうせんえん)は、乳腺に繰り返し炎症が起こる病気のことで、乳房にしこりや赤み、腫脹、疼痛、発熱などの症状が出現し、長引きます。慢性乳腺炎は、急性乳腺炎から移行して発症するのが一般的ですが、授乳経験がない人でも起こり得ます。抗菌薬の処方に加えて膿を取り除く治療が必要になる場合もあります。
乳腺炎になりやすい時期と特徴
乳腺炎は授乳中であればいつでも起こり得ますが、卒乳や断乳まで一度も乳腺炎にならなかったママもいれば、何回も乳腺炎を繰り返し苦しんだ経験があるママもいます。
乳腺炎になりやすいのは産褥期
乳腺炎は、産後に母体が回復するまでの約6~8週間の産褥期(さんじょくき)に発症しやすいとされています。産後48時間程度は生理的な現象として母乳がうっ積して乳房の腫れや痛みなどがありますが、その後も母乳がうまく排出されず乳房内に溜まり続けると、うっ滞性乳腺炎につながっていきます。特に授乳を始めたばかりの頃は、母子ともにまだ不慣れなことが多く、母乳が溜まりやすい状態になりがちです。
乳腺炎になりやすい6つの特徴
次の傾向がみられる方は、乳腺炎になりやすいと言われています。
- 授乳中、ずっと同じ姿勢を続けている
- 締め付けがきつい衣服を着用している
- 疲労・ストレスを抱えている
- 栄養が不足している
- 過去に乳腺炎の既往歴がある
- 乳腺が細い、母乳量が多めである
特に⑤⑥は自分でコントロールすることが難しいため、予防にはこまめなケアが効果的です。
乳腺炎の対処法と予防法
乳腺炎を改善するための基本の対処法は、赤ちゃんにおっぱいを吸わせ、母乳を飲んでもらうことです。母乳の溜まりが解消されると、症状が軽快することがあります。症状が軽ければ、まずはセルフケアで様子を見てみましょう。また、乳腺炎は日ごろからの予防も大切です。乳腺炎の5つの予防法をご紹介します。
乳腺炎の5つの予防法
その① 母乳が溜まらないようにする
赤ちゃんが母乳を飲みきれていなかったり、母乳がよく出る体質だったりすると、母乳が溜まりやすくなり、乳房がガチガチに硬くなって授乳時に痛みを伴います。まずは普段の授乳で、赤ちゃんが乳頭を深くくわえて授乳できているか、正しい姿勢で授乳できるか、確認してみてください。そして、授乳時にはずっと同じ抱き方ではなく、たまに授乳の姿勢を変えてみましょう。横抱き(クレードル)、交差横抱き(クロスクレードル)、わき抱き(フットボール抱き、ラグビー抱き)、縦抱き、添え乳(添い乳)など、さまざまな姿勢を試して、あらゆる角度からおっぱいを吸わせるよう意識してみましょう。
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授乳間隔を空けすぎないことも重要です。3〜4時間おきの頻回授乳はママにとって負担にはなりますが、乳腺炎予防のためにも、なるべくこまめに授乳します。授乳が終わったあと、飲み残しがあるようであれば搾乳(さくにゅう)をするのもよいでしょう。
搾乳のしすぎに注意
母乳が残らないように気を付けるあまり、頻繁に搾乳をしてしまうママもいます。搾乳のやりすぎは実は逆効果で、体がさらに母乳を作ろうとするため、母乳過多になってしまったり、乳腺を傷つけてしまう可能性があります。搾乳は加減しながら行ってくださいね。
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その② 授乳前には手を洗って清潔に
赤ちゃんの噛み傷が細菌の感染経路になり、乳腺炎を起こす場合があります。授乳前後は手洗いをするように心がけ、搾乳器を使う場合は搾乳器の洗浄をしっかり行いましょう。
その③ 栄養バランスの整った食事をとる
食事の栄養バランスも大切です。ただし、食べ過ぎは母乳分泌が過剰になる原因に。脂っこい食べ物も控えめにして、脂肪分をとりすぎないよう適量の食事を心がけましょう。また、血流を良くするために、日ごろからこまめな水分補給も忘れないようにしましょう。
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その④ ゆったりとした下着や服を着る
きつい下着や衣服でバストが締め付けられると、血流が悪くなり、母乳が溜まりやすくなってしまいます。授乳期間中は、ワイヤーのない下着やゆったりした服がおすすめです。
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その⑤ 十分な休息と睡眠をとる
ストレスや疲労によっても血流が悪くなります。完母(完全母乳)や混合(混合授乳)で赤ちゃんを育てているママにとっては、頻回授乳でまとまった時間休むことが難しいものですが、赤ちゃんが寝ているときに一緒に横になったり、家族やサポーターの援助を得ながら、できるだけ睡眠をとったりしながら、身体を休めるようにしましょう。
乳房マッサージのポイント
乳房にしこりや乳腺の詰まりがある場合、乳房マッサージを行い母乳を分泌することで、乳腺炎が改善される場合があります。セルフマッサージは手のひらで包み込むようにそっと触れ、やさしく行いましょう。強くマッサージを行なうと乳腺を刺激してしまい、母乳の分泌量が過剰になることがありますので注意してください。
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自分でやってみてうまくいかない場合は、産院や母乳外来があるクリニックなどをお住まいの地域に近いエリアで探して、乳房マッサージの相談をしてみましょう。自宅まで助産師さんが来てくれる出張サービスがある場合もあります。
- 産院・母乳外来・母子相談室での乳房マッサージ
- 助産院・助産師による出張乳房マッサージ
- 桶谷式母乳育児相談室(全国に約330か所)
乳腺炎で病院を受診する目安
「セルフケアをしても乳腺炎の症状が治まらない」「乳腺炎で高熱や激しい痛みがある」といったとき、病院で診てもらいたくても、何科を受診したらよいのか迷ってしまうかもしれません。乳腺炎の診察は、出産した病院や産院、産婦人科、助産院、乳腺外来、母乳外来、乳腺科などで診察を行っています。治療については、病状によって異なります。
うっ滞性乳腺炎の治療
うっ滞性乳腺炎の場合の治療は、十分な休息、食事バランスの改善、乳房を温めながら行うマッサージなどがあります。自宅でも積極的な授乳が推奨され、母乳の溜まりを改善することを目指して治療していきます。病院や助産院での診断により、漢方薬(葛根湯など)が処方されることもあります。
化膿性乳腺炎の治療
化膿性乳腺炎の場合は、乳腺に細菌が入り込んでいるため、授乳を一度ストップして抗生物質や解熱・鎮痛剤による治療を行います。膿が溜まってしまった場合は、膿を取り除くための切開手術が必要な場合もあります。授乳ができない間は、粉ミルクなどの育児用ミルクで代替し、ママは体を休めて回復に努めましょう。
乳腺炎Q&A
こんな時はどうする?乳腺炎に関するよくある質問をまとめました。
乳房が熱っぽく痛みを感じるときは、どうしたらよいですか?
乳房が熱っぽく痛みを感じるときに、温めるべきか、冷やすべきか、迷うところですよね。痛みを和らげたいときは、タオルで包んだ保冷剤などで乳房を冷やします。この時に、乳房を急激に冷やさないようにしてください。一方で、搾乳や乳房マッサージなどをして母乳を出したいときは、ホットタオルなどで温めて血流をよくしてから行うとよいでしょう。
乳頭(乳首)に白いできものができてしまいました。放っておくと乳腺炎になりますか?
母乳の出口である乳口に炎症が起きていたり、母乳が詰まっている場合、乳頭に白斑(はくはん)と呼ばれる、ニキビのような白いできものがあらわれます。これは乳口炎と呼ばれる症状のひとつであり、白斑がやがて乳腺のつまりを引き起こして乳腺炎の原因になることもあります。
白斑の解消方法についても乳腺炎のときと同様に、授乳をすることで解消することがあります。授乳の際は乳頭を深くくわえさせて、角度を変えながらまんべんなく吸わせるようにしてみてください。白斑部分を少しあたためてから授乳をすると、より効果的です。なお、白斑を無理に取り除こうとしてつまんだり引っかいたりしないようにしてください。症状悪化の原因になります。
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乳腺炎の予防に効果のある食べ物や飲み物はありますか?
基本的には脂っこい食事を避け、栄養バランスの整った食事を摂ることがおすすめです。チーズ、生クリーム、バターなどの乳製品、もち米、ケーキ、揚げ物、スナック菓子などは、母乳が詰まりやすくなったり、母乳の出が悪くなったりすると感じるママが多いようです。授乳中には、血行をよくするため温かい飲み物がよいとされていますが、産後のママには、カフェインの入っていないたんぽぽ茶やごぼう茶、ハーブティーなども人気です。
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しこりがなかなか取れません。乳腺炎ではなく、他の病気でしょうか?
肉芽腫性乳腺炎や炎症性の乳がん、その他の乳腺・乳房に関わる病気も、乳腺炎と同じような症状を出すことがあります。疑わしい場合は医療機関で診察を受け、医師の指示に従って治療を行いましょう。
まとめ
乳腺炎は、授乳中に痛みを感じたり、熱が出たりするなど、産後のママの身体への負担が大きい病気です。しかし適切な治療やケアを行っていけば、きちんと回復します。乳腺炎を発症したら、痛みがあっても、まずは赤ちゃんにおっぱいをたくさん吸ってもらい、母乳の詰まりを解消しましょう。授乳間隔を空けず、頻回授乳をするのもおすすめです。それでもなかなか乳腺炎が解消されず、辛いと感じる場合は、早めに医師や助産師に相談し、心身をしっかり休めましょう。
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りくファミリーの他のマンガを読んでみよう
他のマンガにもコメントが届いています。
これで安全に支障がでたら、どうするつもりなんだろうね国は、従来の10歳まででいいよ
私、いつも叩かれて腕を掴んで叩けないようにしたら怒られて…仕返しされても何も手出ししないお姉さん凄いと思いました。
食べすぎは本当に本当によくないと思います。