子育てが始まると、理想と現実に悩むことはありませんか?ママとパパが同じ方向を向いて育児を共にする難しさを感じることもあるでしょう。今回は、峯村敏弘園長先生(シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクールの創設者で園長)との子育て座談会、第3弾。イクメンという言葉に象徴される、パパたちの育児参加に対する社会の期待と、そのギャップにモヤモヤするママたちの心情。『こそだてDAYS』の体験談マンガで描かれたリアルなエピソードを交えながら、子育てに対する夫婦の在り方を考えてみましょう。
イクメン…育児の参加どうしてる?
- 「仮面イクメン」
- みんなー!! 騙されないでー!!!
- こそだてDAYS
- それでは、マンガ「仮面イクメン」をテーマに、皆さんからお話を伺いたいと思います。
- T.Mさん(6歳児のパパ)
- うちの子は一人っ子で、男の子です。
0歳から1歳の頃は、ママにしかできないことがあったかと思います。ですが、大きくなるにつれて「抱っこして」とか「ジャングルジムで遊ぼうよ」とか、6歳の男の子の相手はママには難しかったりするので、じゃあそこはパパと一緒にやった方がママも安心するし、パパも楽しいし、子どもも安心して遊んでいる。
それが別にイクメンとしてやるということじゃなくて、パパにもできることがたくさんあると思うので、それを探してやっていくというのが、育児なんじゃないかなと僕は思います。
- こそだてDAYS
- “イクメンとは何か”という話もそうですが、このマンガのテーマは、どちらかというと「イクメンに見られたい」という、承認欲求があるパパへのママの苛立ちという感じにも見えますよね。
- O.Kさん(2歳児のパパ)
- 「育児やって、すごいですね」って言われると、僕は「全然」という(謙遜する)タイプですね…。
- T.Nさん(7歳児と2歳児のママ)
- 私は結構この漫画には共感できるところがあります。夫がイクメンとして見られたいと思っているわけではないと思うんですけど、ママたちもすごい頑張ってるんだけど、それを周りから褒めてもらうことがなく、そこの不満があるのかなって思います。
ママだって抱っこ紐で赤ちゃん連れて歩いてても、「頑張ってるわね」なんて言われることはないんです。でもパパがしてると「あら、最近のパパは抱っこ紐して偉いわね」ってすぐ褒めてもらったりしてるのを見たりするので、それ自体は悪いことじゃないんですけど、結局ママは褒めてもらえないっていう不満が募ってこうなってるのかなと感じます。
- O.Kさん(2歳児のパパ)
- 私の場合は、妻がわりと「掃除したよ」とか「洗濯物畳んだよ」みたいなアピールが結構来るんです。私は褒めることをしていなかったので、そうきたら「ありがとう」と言うようにしています。でもその褒められたい根幹は(マンガのパパの行動も含めて)まだ未だに理解ができていなかったので、ちょっと聞いてみたいですね。
- T.Nさん(7歳児と2歳児のママ)
- 褒められるために子どもを育てているわけではないんですけれども、子育てって終わりもなくて、最終形態もないので、自分が日々やっていることがどれだけ実を結んでいるのかっていうのはすごく分かりづらい。仕事をしていると、今日この作業をやって、これぐらい売上が上がったとか分かりやすいと思うんですけど、子育てはそういうのが目に見えないので、続けていくためのエネルギーが何か欲しいのかなっていう気が自分はしてるんですね。それが例えば褒められることだったり、何かしら自分がやっていることに対して周囲からのリアクションが欲しい。
それで頑張れるっていうのは、人によってあるのかなと感じています。
- O.Sさん(1歳児のママ)
- マンガのパパは、家で何もやらないことが問題なんですよね?やっていれば外で褒められても、ママは別になにも思わないですよね。
今、世の中でパパさんが抱っこしたりとかで「いいわね」って言われるのは、そのうちそれが普通となれば消えていくんだろうな、そうであってほしいなって思います。
- こそだてDAYS
- そうですね。イクメンという言葉が出てくること自体が、時代として違うのかな…。
例えば「ワーママ」という言葉がありますが、今でこそ働くママが増えましたが、(以前は)やっぱり働くママが珍しいから「ワーママ」という言葉ができる。「イクメン」という言葉も珍しいからできる。
きっとこれが、どちらも普通になってくれば、この言葉がなくなるのかなという気はするんですけどね。
- 峯村先生
- 人間関係って夫婦でも親子でも「あなたのために一生懸命やってあげてるのよ」っていう関係ほど、辛くなるものはないですよね。「あなたのためにお母さんは一生懸命やってあげてるのよ」というのは、子どもにはとても負担になるのではないかな。
- O.Kさん(2歳児のパパ)
- コミュニケーションを取らないと分からない、ということを、すごく感じています…。
- 峯村先生
- 家で何にもしないパパに、ママが怖い顔するんじゃなくて、「こうやってくれたら嬉しいな」とか、やってもらった時に極端に「素晴らしい!ありがとう」みたいに褒めるとか、(こちらからの声かけでパパが)動いてくれるのかなという気もします。タイプによって違うと思いますが、このマンガに出てくるご主人は承認欲求が必要な方なので、褒めて褒めて動かした方が、奥様のストレスももしかしたら減るのかなという気がしますね。
- こそだてDAYS
- ありがとうございます。私も、そのように受け取りました。
まだまだ尽きないところではありますが、このテーマは以上にしたいと思います。
まとめ
- 承認欲求が強いタイプのパートナーは褒めて伸ばして育児参加を促してみよう
- こまめにコミュニケーションを取って日々の不満をためないようにしよう
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峯村敏弘シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクール創設者
- 東進スクール、日能研を経て1998年よりシンガポールに住む。 「子どもたちの今と未来を幸せにする。」を模索した結果、当地にEis International Pre-School及びキッズルー&ママルーや学習塾KOMABAを創設。 当地以外にもインドネシア(ジャカルタ)、フィリピン、日本において教育事業を展開。さらに特別支援教育を始め、広く日本人子女のための教育活動を行なっている。